
2025.10.20
こんにちは。
ぐっと涼しくなって季節の変わり目を感じますね。
季節の変わり目に歯の痛みを感じることもあるので、何か変化がある方はご連絡ください(﹡ˆᴗˆ﹡)
「神経を抜くしかない」と言われたこと、ありませんか?
むし歯が深く進行したとき、「神経を取るしかないですね」と言われると、不安になりますよね。
でも最近では、歯の神経を残す“保存療法”が進化していることをご存じでしょうか?
その中心にあるのが、*MTAセメント(Mineral Trioxide Aggregate)*という革新的な材料です。
当院では10年以上前から扱っていますが、まだまだ浸透具合は低い様です。
なぜ神経を残した方がいいのか、MTAセメントとは一体どういったものなのか、をお話していきたいと思います。
◎なぜ神経を残すことが大切なのか?
歯の神経(歯髄)は、単なる“痛みのセンサー”ではありません。
以下のような重要な役割があります。
●歯に栄養を届ける血管が通っている
●外部刺激に反応し、異常を知らせてくれる
●歯の内部から再生・修復を促す力がある
●神経があることで、歯の強度が保たれる
つまり、神経を残すことは“歯の寿命”を延ばすことにつながるのです。
◎ MTAセメントとは?その特徴と利点
MTAセメントは、1990年代に登場した歯科用材料で、現在では神経保存治療のスタンダードになりつつあります。
主な特徴
●高い生体親和性(体にやさしく、炎症を起こしにくい)
●封鎖性が高く、細菌の侵入を防ぐ
●硬化後も安定し、長期的に変質しにくい
●歯髄保存に適している(直接覆髄・間接覆髄など)
使用される場面
●深いむし歯で神経が露出したとき
●外傷で神経が見えてしまったとき
●根の先に軽度の病変があるとき
◎治療の流れと注意点
治療ステップ
1、むし歯除去後、神経の状態を確認(出血・反応性など)
2、MTAセメントを神経の上に置いて封鎖
3、一時的な詰め物で経過観察(数週間〜数ヶ月)
4、症状がなければ、最終的な補綴処置へ
※注意点
●神経がすでに壊死している場合は適応外
●MTAは自費診療になることが多い(当院でも自費診療になります)
●経過観察が必要(即日完了ではない)
◎他の保存材料との違い
● MTAセメント
生体親和性:非常に高い
封鎖性:非常に高い
硬化時間:やや長め
適応症:神経保存・根尖病変など
● カルシウム水酸化物
生体親和性:やや低い
封鎖性:やや低い
硬化時間:速い
適応症:一時的な覆髄処置など
● バイオセラミック系材料
生体親和性:非常に高い
封鎖性:非常に高い
硬化時間:標準
適応症:MTAの代替として注目されている
「神経を残す」という選択肢は、歯を守るための新しいスタンダードです。
すべてのケースに適応できるわけではありませんが、“抜かない治療”を目指す方には大きな希望となるはずです。
気になる方は、まずは診断から。
あなたの歯の未来を一緒に考えましょう(^O^)ノ